<忘れさせて>


恋したくなるお題
様より。
片恋のお題(1〜20)、12.

FF7  Aerith→Zack







「誰を見ているか知ってるよ」の続編になります。

内容はかなり重いのでそういうものは苦手な方はご注意下さい。ザクエア前提のクラエアと言った感じ…?








<忘れさせて>









クラウドの言葉に自分の表情が凍り付くのが分かった。

「…………」

図星。――――そう、図星。

わたしはあなたの中にあの人を見ていた。

まさか、気付かれている、なんて想像もしないで。

ごめんなさい――。

言えずにわたしは涙を零した―――そんなの狡い。

解っているのに止められなかった。

クラウドは面食らったように、わたしを見ている。

そのちょっとした仕草、一つ一つにわたしは思い知る。

全然、違う。

あなたは、あの人じゃ、ない。

あの人なら、きっと泣くわたしを見たら、わたしを何も言わないで抱きしめてくれる。

だけどあなたの蒼い目が、あなたの中の何かがわたしを狂わせる。

会いたい。
会いたい。
会いたい。

どこなの?あなたはどこにいるの?わたし、あなたを探しているのに。わたし、ここにいるのに。わたしだけ――わたしだけが会いたいの?

会いたい。
会いたい。
会いたい。





「………エアリス」

ぎゅっと息が出来ない位に抱きしめられて、その匂いに眩暈がした。

あの人の匂い。

―――ねぇ、本当はあなたなんでしょう……?

それは叫びにも似た祈り。

「………俺じゃ……ダメなのか……?」

あの人はそんな低い声じゃない。そんな苦しそうな顔でわたしを見つめない。

わたしは答えられなかった。ただ、あなたの首に手を回してあなたにしがみついた。

「―――…………」

ワスレサセテ。

小さな掠れ声は、あなたに聞こえたか、分からない。

でも、そこから、どちらからなんて分からない、キスをする。

愛し合う―――そんなんじゃなくて、奪い合うように抱き合った。


あの人も。
初めて出来た親友の存在も―――お願い。

今は、忘れさせて――……。




end


2008.8.4.up

.


img Four seasons