<Without You>




多少(?)暗い内容となっております。苦手な方は閲覧をご遠慮下さいませm(__)m



またこのSSはNOVELの『Zero』の流れにのっとったものになっております。(単独でも大丈夫です)
お暇な方はそちらもご覧下さいm(__)m



「お前…何を考えてる?!」

「…………」

俺はただ、怒鳴り散らす叔父を見上げた。

dejavu?

―――いや……。確かにこの台詞は3年前にも聞いた。




<Without You>



「―――しいな」

びくっと肩を竦ませるしいなを抱きしめた。

その確かな温もりに心の何処かは安堵したのに、それでいて何処かはどうしようもない焦燥を感じる。

――――何、考えてんの…?お前?

「……ど……どーしたのさ?」

「……」

思わず眉間に皺が寄った。

「――――‘恋人’を抱きしめるのに‘理由’なんかいるか―――?」

――――しいなと付き合い始めて1ヶ月。俺は19でしいなは16だった。

数える気すらない位、多くの女と付き合ったけれど、しいなは今までのどの女とも違う。

女は誰も自分の領域に踏み込もうとする――――――筈なのに、しいなは決して踏み込みはしない。むし
ろ、自分の領域に決して他者を入れようとしない――――それは、俺にとってとても都合がよくて―――苛
立つ原因だ。


――――俺自身、この‘傷’をしいなに晒す気は微塵もないのに、どうしてしいなの‘領域’に入りたい――
―――そう、思ってしまうのだろう……?

「………しいな…」

「…?」

見上げて来る褐色の瞳――――その澄んだ色にどうしようもなく苛付いた。

強引に顎を捕えてキスしようとする――――しいなは身体を震わせた。

「ちょ……っ…!まっ…!!」

涙さえ滲ませるしいな――――。

「―――まだ覚悟ができね〜ってか?」

軽い口調で言った。

―――『違うよ!このアホ神子!!』――――そういつもの啖呵切ってくれれば、俺だって『でひゃひゃ』とか
言ってその場は丸く収まるのに―――――しいなは涙を滲ませて俯く――――その仕種が俺を確かに切り
裂くこと、知ってるか?

「………」

俺はしいなを離した。

「ぜ……!」

しいなの声にも振り返らず。






俺たちはなんでつきあっているんだろうな…?

別れてしまえば互いを傷つけることもないだろうに。

けれど、俺はお前を手放しては生きていけないような気すらしているんだ……………。







苛々する気分のまま、煙草に火を付けた。

――――――貴族だけの集まるパーティー。

おべんちゃらと嘘と駆け引きばかりの世界。近づくことのない俺としいなの距離――──。

どうしてこうも全て俺の思い通りにならないんだろう…?

溜息と共に紫煙を吐き出せば、煙の向こうに美しい女がそこにいた。俺は女に微笑む。女も俺に微笑んだ。

「―――ご機嫌斜めですのね?」

「まーね〜。思い通りにならないことが多すぎてさぁ…」

「神子さまにも思い通りにならないことなんてありますの?」

「あるある。つーかありすぎ」

「私から見れば神子さまは何でもお持ちの方ですのに?」

「たくさん持ってれば幸せってわけでもねーみたいよ〜?」

ささくれた気持ちで女に手を伸ばす。女はしいなのように俺の手を拒絶したりはしない。





「………慰めてくれる………?」







女を抱きながら、しいなのことを考える。

――――しいなは怒るだろうか?

明らかな‘浮気’。

他の女ならキレるだろう。それが一般的。しいなは―――キレない気がした。

『……お前…俺さまのこと本当に好きなの…?』

――――たまらなく聞いて見たいのに、聞いてしまえば全てが終わってしまうような気がしていた。

「………ゼロス様……?」

「んー?」

「……何を考えていらっしゃるの?」

「…………」

――――女って生き物は途轍もなく愚かでありながら、どうしてこうも勘がいいんだろうな………?

「ハニーのことv」

女は悲しげに笑った。

その悲しげな微笑はどうしようもなく、しいなのことを思い出させて、苛ついた。






時折、考えることがある。

繁栄世界テセアラの裏側にあるという衰退世界にあるシルヴァラント――――黄泉の世界と言われているそこ
には俺と同じ神子がいるという。

このお気楽な世界に生きる人間には伏せられた衝撃の真実――――そこの神子が世界再生を果たしたとき、
繁栄世界と衰退世界は反転する。

つまり、このテセアラが衰退世界になるっつーこった。平和と安寧を満喫している連中が知ったら恐慌状態に
陥るのは予想に難しくない。

――――俺と同じ………‘神子’どんな奴なんだろうな?

そいつなら俺の焦燥や苛立ちを理解できるだろうか?

だが、そいつに降りる‘神託’と俺に降りる‘神託’の重みは違いすぎる。

奴に降りる‘神託’は、‘世界再生に旅’に出るためのもの。

――――――世界のために贄になれという身勝手な神の降ろす命令。少し調べればだれでも予想できる簡
単予想できる簡単なシステム。

‘世界再生’は世界を反転させる――――神子の命をもって。


 それに比べれば俺に降りる‘神託’なんて軽いもんだ。どこぞの見たこともない女と結婚しろ―――――神子
の血筋を薄めないように、それでいて汚さないように考えつくされた驚くほどよくできたシステム――――神っ
てのはどんな奴よりも優秀な管理者なのかもしれねぇな。

そして、いつか世界が反転した時、俺か、俺のガキか、そのまたガキが世界再生の旅に出るんだ。

逃げようもない完璧なシステム。

無駄なもんなんてひとつもありゃしねぇ。

なにか無駄なものがあるとしたら、それは俺のどうしようもない気持ち――――こんな気持ち捨ててしまえば楽に
なれるのに……。






遠くに住む叔父が訪ねてきたのは久しぶりだった。

マナの血族の血筋は天変地異があったとき滅びてしまうのを避けるため、世界中にばらばらに住んでいる。直系
の俺はテセアラの中心と言えるメルトキオに一人住んでいたが。

「神託が降りる、と聞いたが?」

「………そうなんですか?」

デマだな。俺は慇懃な言葉で叔父にそう伝えた。叔父は顔を歪めた。

「おそらく、2、3年はないって話ですがね」

「………放蕩生活を手放す気はないか?…顔は母親似だが、そんなところは父親にそっくりだな」

「………………………」

――――叔父でなければ絞め殺していた。

母親のことはもちろん、父親のことを言われるのも俺は大嫌いだ。

「神託が降りる前には、身辺を綺麗にしておけよ?」

叔父はまるでおぞましい化け物を見るような目で俺を見た。そんなのは慣れっこだから動じもしないが。

「――――そうしなければ、またあのような騒ぎが起きる。あのような騒ぎはもうごめんだからな」

―――叔父の言葉は確かな毒を持って俺の冷静な判断力を砕いた。思ってもいない言葉が零れ落ちる。

「…………………神託に従う気はさらさらありませんよ?」

「…なっ!?」

「一応、本命のカノジョがいるんで〜知らない女と結婚なんかしたらカノジョが泣いちゃうかも?」

―――しいなは泣かない。

わかっていてそんなことを言った。

叔父は顔を赤くしたり、青くしたりしながら俺をにらみ付けた。

「父親と同じことを言うんだな?………そんなことを言ってあいつはミレーヌと結婚したんだよ」





「――……………






しいなと手を繋いでメルトキオを歩いた。

しいなは人に見られるのを何より嫌がるから、ことあるごとに俺の手の中から自分の手を出そうと試みていたが、
俺がそんなことを許さなかった。

活気に溢れた市街地。端然と整えられた上級層のガーデン。汚らしいスラムでさえ、しいなと歩けば色が違って
見えた。

「……………」

言葉もなかったけれど、どうしようもなく泣きたい気分だったけど。

俺は確かにしいなとメルトキオを二人で歩けて幸せだったと思う。

しいなも弱々しい力で俺の手を握り返してきて、それは確かに幸せだった。

キスも、抱きしめることすら許されないデートなのかすら怪しいものだったけど。

―――俺は確かに幸せだったんだ。






―――帰宅すると、叔父がまだ屋敷にいた。

まだ、帰ってなかったのか。図々しい奴だな。

――――そんな俺を気にすることなく、叔父はまくしたてた。

「聞いたぞ。今日はミズホの女に会ってたそうだな?」

隠しもせず、堂々と手を繋いで歩いていたのだから、気づかれるのは当たり前だ。

「………それがなにか?」

「まさか、‘本命のカノジョ’とやらは、ミズホの民ではないだろうな?」

「その‘まさか’ですけど、それがなにか?」

「お前、何を考えている?!」

叔父の怒鳴り声。

「同じことを何度繰り返す気だ!?」

「…………」

「ミズホの民は暗殺をするんだろう?………じゃあ、セレスの母のような失敗はすまいな」


「――――――………」


その場に立っているのがやっとだった。身体中の血は行き場をなくして彷徨っているようにくらくらと眩暈がした。

しいなが俺の子供を殺しに来る――――俺としたことが、そんな想定はしていなかった。――――しいなは来な
い。俺のことなんか愛してるわけがない。

――――だが、もしも、俺が神託に従って、あの母のようなどこぞの貴族の女と結婚した時――――しいなが、
俺の子供を殺しに来たなら………。しいなにセレスの母のような気持ちを味合わせてしまうとしたら―――――
――………

「自分の立場と身分を考えろ。自分の行動がその女さえも不幸にすることを少しは自分の父親の行動から学べ」


知らなかったな。あんたは自分のことしか考えない人だと思っていたけれど、しいなのことを考えてくれるとは思
いもしなかった。

でも………しいなを手放した俺がどうなるか、なんて考えてもいねぇよなぁ………。

叔父の去った部屋で独り、膝を抱えた。






俺はしいなを呼び出した。

「なんだい?話って?」

「なぁ……しいな。俺さまのこと、好き?」

しいなが目を見開く。
もしも。

もしも、しいながそう言ってくれたら、俺の選択は変わっていたかもしれない。

けれど、しいなは、俺の予想通り、動きを止める。目を大きく見開いて。

――――沈黙は肯定。そんな素敵な言葉を信じるには俺は穢れすぎていた。

「――――あたしは……」

言葉を失うしいなを抱きしめた。

これ以上、しいなの言葉を訊けば、冷静ではいられそうになかった。自分自身が壊れるだけじゃなく、しいなさえ
壊してしまいそうな、予感。

「俺さま、意外に依存心が強いのよ〜?しいななしでは生きてはいけないっ」

しいなは顔を歪めた。泣きそうな顔。

―――そんな、顔、すんなよ。

「なーんて冗談」

出来るだけ、同じように。

心の中はまるで、嵐が起きたかのようで、心は引き裂かれそうな悲鳴を上げていたけれど。





「俺たち、終わりにしようぜ?」





俺の言葉にしいなは目を見開いた。

「……なんで……?」

「あら☆意外に俺さまに未練あったりする?」

「………そんな……」

しいなの表情が翳った。

――――お前もさ、忍びの端くれならポーカーフェイス、って奴を身に付けた方がいいぜ?俺位になると、どんな
に辛くても、お前には悟られないんだから。

「お前はさー、全然俺のこと好きそうじゃねーし?キスもさせてくんねーし。それにさ。俺とお前じゃ身分が違いす
ぎる」

「―――――」

「俺はマナの神子だ。いつか、神託が降りてどっかのかわいいお嬢様と結婚する運命なわけよ。しいなを愛人に
してやってもいーけどさー、俺のガキを殺しにきたりしたら、こぇーからな」

――――そこまで、お前にハマる前に捨ててしまった方がなにより楽だから。

親父と同じ人生を送るのはまっぴらなんだ。

しいなは毅然と顔を上げた。

「……そうだね。終わりにしよう」





―――なんて、あっさりとした終わり。



予想はしていたけど、涙も出やしない。しいなが大して俺に好意を持っていないことは分かっていた。しいななり
に俺と付き合えば、ミズホにプラスなことがあるとでも思っていたのかもしれない。


「本当に女の愛情って薄っぺらいわー」

呟きながら、歩きだした。

メルトキオを彷徨う。

独りで歩くメルトキオはまるで全ての色を失ってしまったようで――………。

しいなはミズホに帰っただろうか?

行ってはいけない―――――そう思ったのに、精霊研究所の前に立ってしまった。

「……俺さまって意外に未練がましいかも〜」

ここに行けばしいなの幻が見れるかもしれない。

―――――俺が見たのは幻ではなく、精霊研究所の前で膝を抱えて声を殺してなくしいな。

――――なんで泣くんだよ?

――――俺のことなんか好きでもなんでもない癖に泣くなんてなんて勝手な奴なんだよ?

駆け寄って抱きしめたかったけれど。

なにより、自分自身が壊れてしまいそうで出来なかった。

ここでしいなを抱きしめてしまえば、本当に生きてはいけない――――そう、思った。



だから――――、屋敷で独り、声を殺した。何かが俺の頬を濡らしたけれど――――その冷たさを感じる感覚
さえも疎ましかった。

このまま、俺の存在自体を消してしまえば――――しいなの記憶からも姿を消してしまえば、楽になれるの
に――――………。







「お前…何を考えてる?!」

「…………」

俺はただ、怒鳴り散らす叔父を見上げた。

dejavu?

―――いや…。確かにこの台詞は3年前にも聞いた。

「同じことを何度繰り返せば気が済むんだ?!お前ら親子は…」

まだまだ、文句を言いそうな叔父に俺は微笑んだ。

「同じことは繰り返しませんよ?私がお知らせしたのは、しいなと結婚するってことでしいなを愛人にするって話
じゃありませんから」

「……………お前は……っ!!」

「もう私は神子ではありませんから。…と言うことで他の親戚にもよろしくー」

大荒れの叔父を屋敷に置いてさっさと俺は屋敷を出た。





「おーい。しいな〜」

俺はしいなを呼んだ。しいなは足音もなく、俺の傍らに来て、身体を寄せる―――――俺はしいなを抱きしめた。

「……ど……どーしたのさ?」

――――おいおい。またdejavuかよ。

「――――なんか昔のこと思い出してさ…」

「昔……?」

「3年前のこと」

「……あぁ……」

―――しいなは俺の背中に腕を回した。きゅ、と力が篭る。

「あの時はお互い、大バカだったよね?」

「……でも、その時はああするしかないってお互い思ってた、よな?」

「……うん」

「好きで好きでしょうがなくても、別れるしかなかった」

「…ん。まーあたしはそれほどでもなかったけどねー」

「ほー。泣いてたくせに?」

「な…な……泣いてないよ?!」

「俺さまが気づかないとでも思うかー?」

しいなは照れくさそうに笑った。けれど、すぐに、まじめな顔になり俺の顔を見た。

「……。聞いて欲しいんだけどさ」

しいなが神妙な顔で見上げて来た。

「んー?」

「あのね、あの時あたしはすごく孤独だったんだ。ミズホでもあたしは浮いてたし、多分、あたしを家族の仇だと
思っていた人はくちなわ以外にもたくさんいたと思う。…だから、ミズホには帰りたくなくて、でも、ミズホの役に
は立ちたかったんだ。…………だからね、あたしがあんたと付き合ったのはあたしなりの計算だったんだ」

淡々とした口調で語る事実は俺の予想通り―――なんで今更言うんだ…?

「……………」

「……あんたと付き合えば、神子の弱みをつかめるかもしれない。神子の弱みはいつどうなってもおかしくないミ
ズホにとって強いカードになるんじゃないかって、そう思った。…………それなのにさ」

「本気になっちゃった?」

冗談のつもりだったのに――――しいなは顔を赤くして俯いた。

「………まぁねぇ…。驚かないのかい?あたしがこんなこと考えるなんて思いもしなくない?」

「……確かに。しいなの計算なんて考えただけで間違いだらけっぽいよなぁ」

「…………否定はしないけどね。だって1番計算外だったのはあんたの行動なんだけど?」

「俺さまがしいなに意外なくらい本気だったこと?」

歯に衣着せず言うとしいなの顔が更に赤く染まった。


「そ………そんなんじゃなくってさ…!え……えっと、だって、あんたはあの頃から女好きだって有名だっただろ?
大体あたしに言ってきたときもからかってるんだと思ったんだ。むかついてさぁ、勢いで『付き合う』って言っちゃっ
たけど………ずっとからかってるんだって思ってた」

「失礼ね〜」

「……だから、びっくりした」

「だーかーらー、俺さま当時から言ってるだろ?俺さま、依存心が強いのよ。しいながいないと生きていけないん
だってば」

「バーカ。………でも、あたしはどこかで感じてたのかもしれないね」

―――自分の傷と俺の傷がどこか、似た形をしたことを。自分に似た人間はシルヴァラントなんかじゃなく、かな
りの身近にいたわけだ。

「―――相変わらず気付くのが遅いねー。俺さまはずっと前から気づいてたぜ?」

「あっそ。だから、どんどん、刹那的になって、排他的になっていくあんたを見るのがとても辛かった」

「………………」

「でも、あたしは計算であんたに近付いた。だから、入りこんじゃいけない。好きになっちゃいけないって思ってた」

「……………」

しいなは微笑んだ――――それは3年前には決して見られなかっただろう柔らかな表情。自然と俺も微笑む。

「でもね、今は思うんだ。今は世界も一つになったし、平和になった。でも相変わらず、あんたは貴族であたしはミ
ズホの民だ。ハーフエルフへの差別だって完全になくなったわけじゃないし、貧富の差が縮んだわけじゃない…
……でも、もうそんなの関係ないのかな?って」

「なんで?」

「だって、あんたあの時、まさか、神子制度がなくなる、なんて思ってたかい?」

「いやーまったく思ってなかったな」

「だろ?そんなことが実現しちゃうんだから、身分差なんかどーにでもなるんじゃないのかい?」

どうしようもない位、愛おしい気持ちが溢れ出して、俺はしいなを抱きしめた。

「しいなーvv」

「なんなんだい!?うざいね!!」

「やっぱり、俺さま、しいななしでは生きられないー!」

「あそ。じゃあ、死んでみて」

紡がれるしいなのあまりと言えばあまりな台詞に、俺は意地悪く笑った。

「おいおい。バッカだなー。死ぬときはお前も道連れだっての」

「冗談じゃないよっ!!」


暴れるしいなをぎゅっと抱きしめた。あんなとんでもないことをしでかしてくれたのはロイドかもしれないけれど。

‘俺’がここにいるのはやっぱり、お前がいたからなんだよ。

いつの間にか大人しくなったしいなが腕の中から俺を見上げて来る。

「………もう、離さないでね?」

「離さないっつーの!」


――――別れてしまったけれど、また会ってしまったように――――幾度も俺はしいなへと、手を伸ばすのだろう。

『俺はしいななしでは生きていけない』から――――。





end





2006.12.1up