<これが最後>
恋したくなるお題 様より。
片恋のお題(1〜20)、16.
FF5 Faris→Butz
変わり行く世界で、変わらないものなんてどれくらいあるのだろう?
おれは思う。
それでもあいつには変わらないでいてほしいと。
ずっと、言おう、言おうと思っていた。
一緒に草原をチョコボで駆け回って、疲れた俺達は草原に並んでそのまんま転がった。ジェニカに知られたらきっと、大目玉どころ
か、失神しちまうだろうな。
俺は内心で苦笑して、空を見上げた。綺麗な青空。
バッツの瞳と同じ色だ。
そんな単純なことを結びつけてしまう自分に笑ってしまうと同時に視界が滲む。
莫迦。
変わらないものなんて、ない。
ただ、俺が感傷的になっているだけのこと。
「いー天気だなぁ……」
暢気な声で言うバッツにうまく言葉が返せない。
こいつとこんな風に会えるのは、今日が最後。
これが最後。
結局、最後まで俺は素直になんかなれなくって、きっとバッツにとって俺は気の合う男友達と何ひとつ変わらないんだろう。
それは少しだけ誇らしくて、ほんの少しだけ、悲しくもあった。
「…………なぁ、バッツ」
「んあ?」
「あのさぁ………」
俺の少し震える声に、お願いだから気付かないで。
「……ずっと親友でいてくれる?」
言おうとした科白はうまい形を成さず、何故か俺はかなり昔にも言ったような気がする科白を言った。
「………………」
ほんの少しの間。俺にとってその間は永遠なのではないかと思われるくらい長かった。
「勿論」
バッツは短くそう答えてくれた。
「……………」
その言葉に少しの安堵を覚えて俺は目を閉じた。
生温い涙が頬をそっと伝う。
「………ありがと」
傍にいてくれて。
本当にお前に出会えて良かった。お前がいてくれて良かった。
お前を好きになって良かった。
お前に本当のことを言うことはやっぱり出来そうにないけど、俺はお前が大好きだよ。
continued...
2008.8.4.up
img 空と海の鐘様
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