<Stressful Life>





<caution!>

本編はギャグです。全体的にキャラクターが壊れ気味なので苦手な方はご注意下さい。















「うぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!!」




俺は思わず悲鳴をあげていた。

し……し……信じられない……!!

「なんだ!?なんだ?!どーした!?」

俺の悲鳴を聞き付けてファリスが駆け付ける。キャミソール1枚に短パンと言う格好で!!



「うわぁあぁぁぁあっ!!」



違う種類の悲鳴をあげる俺―――ファリスの蹴りが決まる。

「うるせーなー!なんだって訊いてんだろ!?」

「どうしたの?!」

悲鳴を聞き付けたらしいレナが登場。レナはファリスの格好を見てしばし絶句する……ファリスは気付かず首を振った。

「おぅ。このバカが……「ねーさんっっっ!!!」……あ…?」

レナはファリスの手を引いて退場……。

ほ…っと俺は溜息を零して、鏡に向き返る。




「………」



残酷な現実がそこには在った。





<Stressful Life>





「あっちゃー……」

「?!!」

いつの間にか背後に立っていた不思議少女クルル!?

「まだ若いのにねぇ……」

「若さと10円ハゲは関係ないっ!!!」

「それもそっか〜」

そう―――出来てしまったんだ。



10円ハゲが……!!



「マジ!?」

ってファリス?! 普段着を着たファリスが人の悪い笑顔で近付いて来る。

「……!」

あっという間に頭を掴まれた。

「おぉっ!本当だ!!レナ!見てみろよ!」

……こらー!!

辞退するかと思いきやレナは普通に俺の頭を眺め苦笑している。

……………。

酷い……酷いよ……。
仲間なのに……(?)






「あっはっはっはっはー!!」

「いつまで笑ってんだ!お前はー!!」

「いやーわりぃわりぃ!」

「絶対悪いって思ってないだろ!?」

「あっはっはー」

「………」

泣きたい。マジで!

「にしてもストレス溜まってたんだなぁ……お前」

まぁ……レナ、クルル、ファリスと旅をすれば10円ハゲも出来るさ……。

「確かにあの姫二人の価値観にはついていけねー時があるよなぁ……」

「…………」





Case1

初めてのお泊りv

あれは旅がはじまってほんの間もなく。宿に泊まった時だった。



「宿がとれて良かったな……」

「…………」

「久しぶりのベッドじゃ〜」

「……」

「ん?レナ??」

「…………ねぇ。バッツ。質問……してもいいかしら?」

「ん?なに?」

「………このお部屋は……寝室? 物置?……私、少し部屋で寛ぎたいんだけど……」

「………」

「………」

部屋は一つしかない―――寝室も物置もメイク室も全部兼用――――ついでに言えばトイレと風呂が一緒の
ユニット型―――をレナが理解するのは小1時間後だった……。

ちなみにクルルも全く同じような感じだった。



Case2

初めてのお料理v



それはテントをはった時のこと――――自炊は大体ファリスがしていた。意外にファリスは料理が上手くて、バイ
キング特有の料理を振る舞ってくれていた………が。その日に限ってファリスが 熱を出して倒れた。

故に……「私が料理するわ!!」

「楽しみじゃ」なんて暢気なじーさんをほっといて、俺は震える声で訊いた。

「な……なぁレナ?料理したこと……ある?」

「はいっ!」

…………ならいいんだけど……なんか不安だ。



がしゃがしゃ………がんっ!!!!


「……………レナ!?無事か!?」

まるでコントみたいな黒煙の中憮然とするプリンセス――――料理は俺がした(泣)

ちなみにクルルにはまだ料理はさせてない。………怖すぎる……。




Case3

ステキな経済感覚v

「………バッツ。非常に言い難いんだが」

珍しく歯切れ悪くファリスが言った―――なんでもずばずば言うファリスらしくないな……?

「金がねぇ」

「……は?!」

「だから、金がねぇ」

「な……なんでだよ!? 俺たち節約してるし、敵はガンガン倒してるし……!そろそろ高い武器でも買おうっ
て……!……はっ!まさかまたファリス……飲み代で遣い尽くしたのか!?」

「こらこら!人聞きの悪いことゆーな!!あれは2回位……しかもガラフも共犯じゃないか〜v」

「2回もやりゃあ充分だっ!!」

「もー!違うって!!金がねぇのはレナとクルルのせいだぜ?」

「えっ?!」

二人共姫にしては普通の経済感覚だと思ったんだけど……!?

「銭投げだ」

「……………………………………………銭投げか」

強烈な威力をもつアビリティー銭投げ。投げる金額が多ければ多い程、威力は高い。根が貧乏な俺とファリスはち
まちましていたが姫は違う。姫は金がないと言うことの意味を知らない。

莫大な金額を平気で投げるんだ……。


「……ジョブチェンジ……アビリティーに銭投げは付けない……」

「………その方向でお願いしますぜ。リーダー…」






「………」

確かに姫の価値観には振り回され、二人とも「何が悪いの?」と可愛く訊く位だ……。ストレスはたまる。かなり。

「解るよ」

と嘘くさい笑顔で俺を見るファリス――――大体こいつだってかなり俺のストレスなんだ!!




Case1

まともじゃない倫理感



海賊に拾われ育てられたファリス――――手癖、足癖、口癖が悪い。

まず手癖。

「見てみて。バッツ〜」

「??何この見慣れない財布……」

「落ちてたから持って来た。何ギル入ってるかな〜?」

持ってくんなーー!!!

「後これは店のグラス。レナ可愛いって言ってたから持って来た」

持ってくんなーー!!!

犯罪じゃねーか!!

………って海賊だから犯罪が生業なのか!!


続いて足癖。

姫の格好をさせられたファリス―――次第に姿勢が悪くなり―――ふてぶてしく足を開いて座ってた。

まぁそれ自体は俺に実害はないからいーけど。

口癖はさらに悪い。

口が半端なく悪い。レナやクルルに聞かせられない類の言葉を連発し、俺が口を押さえたことが幾度あったことか……ι


Case2

自覚なし

さらに迷惑してるのが……自覚のなさ!!

ガラフ亡き後、一緒の部屋になることが多かったし、一緒に酒を飲むことが多かった。

『はっはっはっはー!!楽しいなー♪』

『………はぁ。楽しい。楽しい………かなぁ?』

『なんだぁ? バッツ?飲めよ』

『………はい』

『あっちーなー』

ぽいっ。投げ捨てられるマント。もー!!全部片すのは俺なんだぞー!!

ぽぽいっ―――上着……って上着?!

ぽいっ―――こらーーっ!!!!

その無防備な格好で誘っているかと言えば全く違う。女の子扱いをされたことがないファリスはこういった自覚が
さっぱりらしい。俺がレナやクルルに手を出す可能性は考慮しても、自分は全く考慮せず。




『……ん〜………眠い……眠いよぉ……』

『寝ろっ!!』

『やだ〜もうちょっとバッツと飲む〜!!』
薔薇色の頬に潤んだ瞳で俺の上着を掴んで来るファリス――………。

『………』

うわーーー!!可愛いーー!!!?

可愛いんですけどー?!

『…………』

硬直する俺の上着を掴んだままファリスはとろんとした目のまま首を傾げた。

『……んぅ〜〜………なんだ?なんだ?えらく不満げだな? うーーん。欲求不満か?』

『……』

『相手してやろっか??』

『?!』

『なーんて♪』

笑えない冗談ゆーなー!!!!

………ってか。

自覚なすぎだよ……。こいつは危険性を知るべきなんじゃないか……?男と言う生き物の……。

『……ファリス……』

肩に手をかける―――熱い……。

『……あぁ?』

少し潤んだ瞳で俺を見上げるファリス……。どうしようもなく――熱い。

熱いのは――俺?それとも、お前?

よし!!このまま抱き寄せてちゅうを……!

『……ふ……ファリス……!』

『……………すぅ……』

すぅ………?? すぅ…って何だ!?!

『……すぅすぅ……』

『…………』

やっぱり……!!寝てるーーーー!!!











…………こんなストレス溜まる生活だ。10円ハゲも出来るさ………。誰だ。なんか楽しそーだなんて無責任なこと
言ってる奴は!!



「うん。まー大丈夫だ。バッツ」

明るい笑顔で言うファリス。

「…………なんだ。その根拠ない発言ー!!」

「……皆、そんだけお前を頼りにしてるんだよ。もちろん俺もな。お前がいなかったらこのパーティーはとっくに全滅
してる」

………ファ……ファリスー!!

「大体、10円ハゲ位なんだ。気にすんな。ハゲてても俺は全然平気だぜ?ハゲててもお前はお前だろ?」

「……ファリス……」

………俺は許されるならお前を抱きしめたい……!殺されそーだけど……!

思わず手を伸ばしかける俺に極上の笑顔でファリスは言った。

「……………まぁ、お前のカノジョは嫌かもしれねーけどなっ。ま、カノジョもいねーし平気だろ!」

ぐ………ぐはっ……。

救い上げると見せかけて蹴落とすなんて………(泣)

「あ。昆布とかって髪にいいんだよな!今度から料理にいれてやるからな♪」

あぁ……その中途半端な優しさがぐさぐさ刺さるよ……。



一人、ショックのあまり、肩を落とす俺の肩を誰かが叩いた。



「……大変だね〜」

「……クルル……」

「ハイっ♪育毛剤」





end


2007.7.1up