<World _Zelos side_>
上の『World』のゼロスサイドです。
ひたすら暗いです。
ご注意下さい。
<World _Zelos side_>
『俺さまは神子さまよ〜』
『あそ。で?』
『で?………って……』
初めてだったんだ。そんな反応。
お前は俺のこと特別扱いしねーんだな。
他の奴らときたら俺はすぐに珍獣扱い―――――みこさま。みこさま。みこさま。
その『さま』は敬称なんかじゃねえことを俺は知ってる。それは記号なんだ。
俺を人間から隔てるための。
『ゼロス』
―――俺を呼び捨てにする奴に会うなんてなんて久しぶりなんだろう?
嬉しくて嬉しくて――――いつしかそんな感情は形を変えて―――……。
俺は他の奴とは違う。
‘神子’だから。
だからそんな感情知らなくていい――――そう思ってた感情をお前はあっさり連れて来た。
嬉しくて、楽しくて、悲しくて、辛くて、妬ましくて―――――俺はお前に会わなかったらいろいろな感情を知らないままだった。
会わなかったら良かった――――そう思うこともたくさんあったけど――――今はお前との出会いに感謝してるよ。
お前に出会えて良かった。
お前を好きになって良かった。
お前を好きになって俺は初めて涙なんてものを知っちまった。
理由なんて分からないけど―――涙が出たんだ。
「―――この…………バカが……」
お前の涙が―――俺の頬に触れて、俺はもう閉じたままにしておく予定だった瞳を開いた。
本当ならお前の頬に手を伸ばして、その涙を拭ってやりたかったけど………ごめんな。
もうそんな力はねーみたいだ……。
本当はお前を泣かせたくなんかなかったんだけどなぁ………。
最後の最期で泣かせちまったなぁ………。
大丈夫だから……。
俺なんかの為に泣くなよ?
俺は間違って生まれてきたから―――それを精算してる。それだけなんだ。
本当はもっともっと笑って『大丈夫よー。俺さま全然平気〜』って言いたいんだけど。
笑って………。
ぽたぽたぽた………。
あぁ………。あったけぇなぁ……………。
なんてあったかいんだろう………お前の涙は……。
最期の最期までそんなことを教えてくれるなんてなぁ……。
俺の頬が濡れてるのは―――お前の涙かな?俺のかな?
どっちでもいーかー……。
もう上がらない手を、お前に向けて伸ばす。
握られたような気もしたけどもう感覚なんてないから気のせいかもしれない。
「……………」
声にならない声でお前を呼んだ。暗い視界にお前を映した―――………。
もしも―――……生まれ変わって。
ロイドみたいになったら……お前は俺を愛してくれるかなぁ………?
アホくさい仮定―――もう笑うことさえ出来ないけど。
目を閉じた。
世界はお前の温かさで確かに満たされていた。
end
2007.6.17up
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