<Planetarium>




給水塔に腰掛け、私は夜空を見上げた。

そこには降るような星空。



<Planetarium>






ここに来たら、彼に会えるような気がして、来てみたけれど………彼はいなかった。


全てが変わってしまった。

この村も。

彼も。

私も。

……変わらないように見えて、この給水塔さえもまやかしだ。

ただ、一つ変わらないものがあるとしたら、ここから見る夜空………。

――あの日も降る様な星だった。

あまりに幼く無邪気でいられたあの日………。

拙い約束をしたよね。

ニヴルヘイムを出る人はたくさんいたけれど、そんな約束をしたのは貴方が初めてだったの。




『私がピンチの時は助けに来てね』





その記憶があったから、いつも私は貴方を信じていられた。


それなのに。


………どうして彼を信じられなかったんだろう…?




竜巻の迷宮での絶望的な彼の瞳―――。



『いつか本当のクラウド君に会えると、いいですね』



どんどん沈みこんでいく思考。私は首を振った。

ごめんね。

クラウド。




もう、後ろは見ないって決めたの。


きっとクラウドは生きてる。



きっとクラウドは、同じ星空を見ている。

だから、貴方を探すわ。



貴方を探して、伝えなきゃいけないことがある。




貴方が本当のクラウドでも、そうじゃなかったとしても……私は………。






―――貴方が好き。





泣かないと決めたの。貴方にそう伝えるまでは。

「……ティファーー!」

ユフィの呼ぶ声に、私は給水塔から降りた。

「……ティファ。もう、行かない…?」

「……そうだね」

「……次は南に行こうって、次こそきっとクラウドいるよ」

「……」

立ち上がり、もう一度星空を眺める。

数多の星が煌めくこの空を焼き付けておこう。

貴方に会える日まで―――――。



end


2006.9.5up