<Nightmare light ver.>





――――そう……だ。

あれは夢。

俺がしいなを殺す―――できっこない。

「は……はは…っ。そーだよなぁ。そりゃそーだ…」

俺はしいなを抱きしめた。

「……ゼロ…っス…」

苦しげに顔を歪めるしいな。

「……ごめん。今はこのままで……」

俺の五感全てで、しいな……お前を感じさせてくれ。お前が生きてる……そう証明してくれよ。



無我夢中で口付けた。
致るところに証を付けた――――お前が生きている、同時に俺が同じ時で生きている――――確かな証明。


「…大丈夫。あたしならここにいるよ。どこにも行かない。あんたの傍にいる」

苦しげな吐息の合間に囁かれたお前の言葉――――それに更に酔いしれて、お前に溺れて行く―――。






――――気が付けば、空が白み始めていた。

どれ位抱き合っていたのだろう――。

かなりしいなに無理を強いた気がする。

―――流石にぐったりとしたしいなの髪を撫でた。撫でられた子猫のような表情に思わずまた抱きしめたくなる。

「……大丈夫?」

「…うん。あんたは落ち着いたかい?」

「……お蔭さんで」

「……よかった……」

ほぅ…と吐息を漏らすしいな。横になったまま、俺を見つめる。

「……あたしはさ……あんたと違ってなんにも持ってない人間だから……あんたに何もあげられるものがないんだ……」

―――それは違う。

言葉を発しようとした俺をしいなは首をふって制した。

「……だからせめて……あんたが辛い時は傍にいさせて……?」

――――………。

俺はまた、しいなを組み敷いていた。

「―――お前、反則だろ〜?」

「…は…反則??あたしなんもしてないよ??……ってか流石にもう……ι」

「――その発言が反則だっての…」

「……っ…――」

続く言葉を塞ぐように口付けた。



きっと俺は―――生きている限りナイトメアからは解放されないだろう――――けれどしいながいたなら――ナイトメアも
怖くはない……。





end