<共犯者>
えぇ。解ってる。
私たちは、静かな共犯者。決して赦される日なんて来ない。
何も言わなくていい。
<共犯者>
いつも不思議だった。
…今でも不思議なのかもしれない。彼の腕の中に私がいること―――どうして、彼女じゃなく、貴方は私を
抱いてるの?
すぐ思い当たる理由。知ってるくせに忘れようとしてるの―――?
えありすハ、モウ、イナインダカラ―――。
貴方はその代償に、私を抱く。知ってるわ。
貴方がいつも、もういない彼女を捜してることくらい。だって、私、貴方に恋してたから。ずっと見てたから嫌と
いう程、知ってるの。貴方がエアリスを見る時の眼と私を見る眼―――笑える位違うもの。
――いいのよ。それで。
貴方がエアリスに二度と会えないのが、きっと貴方への罰。
傍にいても永遠に貴方へ近付くことが出来ないのが私への罰なのだから。
この程度の罰、私の罪に比べれば軽すぎるかもしれない。
血に塗れ、生きながら焼かれる大好きな人達。幸せな日常を壊されてプレートの下敷きになってしまった人達…。
失われた尊い彼女………。そして、心を失ってしまった貴方。
……違うね。貴方の心は今もきっと、彼女を追って彷徨っているのでしょう?私は貴方の記憶を取り戻すことは出
来たけど、貴方の心に触れることは叶わなかった。
数多の罪。
どうせなら、貴方が私を終わらせてくれればいいのに―――身勝手な考え。私が逝ってしまったら、クラウドは一人
きりになってしまう。
解ってるわ。私たちは、共犯者だから。何も言わない。貴方を一人にしない。それが私たちの新しい約束―――。
end
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