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※※※注意※※※


ギャグです。完全にギャグです。嫌いな方は閲覧ご注意下さいね。特にゼロス様のイメージを崩したくない方は閲覧しない方
が身の為かも……!?



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それは突然訪れた。

戦闘の後、何の気無しにドリンクを口にした時。

「……?」

気のせいかもしれない……。気のせいであってくれ。

もう一度、ドリンクを口にする。

「………」

少しだけ。さっきよりは……楽だ。ほって置けば治る………といいなぁ。







朗々とジーニアス、リフィルの詠唱が響く―――――前線で戦っていたロイド君が少し後退。

「ゼロス頼む!!」

はいはい。決める時はバッチリ決めるからね〜。

技を叩きこもうと前線に出て、俺は――――



がり。

………がり……?

奇妙な音と共に訪れた激痛―――それは、敵に攻撃されたわけじゃなく、俺の口の中の痛みだった。





「咄嗟にロイドが機転を利かせたから良かったものの……」

くどくど言うリフィルを俺は座ったまま涙目で見上げた。

「リフィルさま………俺さま痛い……」

「……は?」

「歯が……歯が痛い……」

「は?」

「歯!!」




「あら〜!欠けちゃってるわ……。ファーストエイドかけたらどうなるのかしら……」

「……さっき自分でやった」

「あー……歯は治らないって言うものねぇ……。本当なのねー」

感心してねーでなんとかしてくれ!!

涙目な俺を見て、リフィルはにっこりと笑った。

「歯医者に行って来なさい」




「ったく子供じゃあるまいし、なんであたしが付き合わないと行けないんだい!?」

膨れるしいな。でも、俺だって不満いっぱいだ。なんで子供でもないのに、病院に行くのに、付き添いがいるんだよ??

「本当だよ!!大体付き添ってくれんならならリフィルさまかコレットちゃんかプレセアちゃんがいー!!」

「悪かったね!!ほら着いたよ」

「………」

見上げる建物………つーんと薬品の臭い。さらにガキの泣き声が響きわたっていた。

「…………俺さま、急用を思い出した」

「アホ言うんじゃないよ!!」

思い切り、しいなに殴られ病院に入った。

「初めてなんですけど……」

受付にいた女の子がにっこりと笑う。

「はい。ではこちらに分かる範囲でご記入お願いします」

可愛い……。なんか病院も悪くないかも。……なんて思ってたらしいなの肘打ちが決まった……。

しばし気を失う―――けど誰もつっこんでくれない(当たり前)ので自力で甦った。問診表に向き合う。

「んーとー名前? ゼロス………本名はまずいか。ゼロス=フジバヤシ……っと」

適当に記入して、受付嬢に渡す。

にっこり笑う受付嬢―――あとで声かけてみよーっと♪

「ではお名前をお呼びするまでお待ち下さい」



hahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahaha




「ゼロス=フジバヤシさーん」

「?!」

「はいはいはーい!」

「…………」

俺はぎょっとしているしいなを置いて診療室に入った。



「……今日はどうされました?」

訊いて来た女―――。

女医か……。

「歯が痛いんです……」

「……いつからですか?」

女医はいつからとか、どんな時痛いか、とかを訊いて来た――――。

「じゃっ、お口の中を拝見いたしますね〜」

……………………。

「あー……歯が欠けちゃってますね〜」

いや、それは分かってるから!

「レントゲン撮りましょうか」



hahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahaha



なんやかんや診査をして、女医は俺に治療内容を説明した。どうも歯の神経をとらなきゃいけないらしい……。神経なんて
とって大丈夫なのか……??

「じゃ麻酔しますね〜」

「せ……先生!!ちょっと待った!!麻酔って!?麻酔って何?!」

女医はまたにっこり。

「大丈夫ですよ〜。ちょっとちくっとするだけで後は楽になりますからね〜」

その無駄な笑顔がこえぇ〜〜〜っ!!!

しかも後、楽になるって俺さま死んじゃうのか!?

「……す……すいません。連れを呼んで下さい……」

「……は……?」

女医は一瞬怪訝な顔をしたが―――「フジバヤシさーん。ゼロスさんの奥様〜」

「「!!!!」」

「奥さんじゃありません!!」

………しいなの怒声。

「ったくあんたが変なことするから!!」

怒り心頭のしいな――――構わずにしいなの手をとった。

「……しいな。今までありがとう……。俺さまお前らと旅が出来て良かった……本当に楽しかったぜ……」

涙を浮かべながら言う俺に流石に驚いたのか、しいなは俺に手を握られたまま女医を振り返る。

「せ……先生!こいつ悪い病気ですか!?」

「………」

女医はリフィルも真っ青な冷笑を浮かべた――――困ったように。

「……ただの虫歯です」

「「………」」

がんっ!!!

「先生!このヘタレはあたしが抑えてるんで!!サクッとやっちまって下さい!」

サクッて!俺は魚じゃねーぞ!!

「はいっ!!」

しかも先生、それでいいのか!?やっぱりリフィル同様、『先生』って奴はどこまでも喰えねぇ…!!

断る暇(いとま)も与えられず、無論、抵抗することも出来ず俺はしいなに抑えられた。

ぶす。

うわぁあぁぁぁぁ……(以下略(笑))



hahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahaha



「俺さまの美貌がー!!美貌が〜!!」

腫れてる!!顔がパンパンに!!

「大丈夫だよ。腫れてる感じがするのは麻酔のせいだって。顔は同じだから」

半泣きな俺にしいなが呆れたように言う。

「……俺さま、綺麗??」

ばきっ。

「これで正真正銘腫れてるよ♪」

悪魔か〜!しいなー!!




「………ん?」

俺は自分の左手を見た。しいなの手がしっかりと俺の手を捕まえている。

多分、治療中からずっと。

「………」

俺の視線に気が付いたのかしいなは俺の手を離そうとした、その手を捕まえると少し怯えたようなしいなの目と視線が絡んだ。

「……口唇が超変なカンジ」

「……そ……そりゃ……そーだよっ!ま……麻酔してるんだから……っ!!」

赤くなって言い募るしいなはさっきとはえらい違いで本当に可愛いって……そう思う。

「……なぁ……キスしていい??」

「は……はぁっ?!」

この雰囲気の中、そんな驚くことじゃないと思うんだが、驚くところがつくづくしいなだ。

「……俺さまの口唇がちゃんとあるか、確かめさせて……?」

そう言って顔を近付ける――――



が。しいなが俺の口唇を指で押さえた。

「んんー?!」

「………だって」

しいなは顔を真っ赤にして、言った。

虫歯はキスで伝染るって……

「………………………………………………………………………………………」

「治るまでは………ね?」

お預けかー!!!



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満身創痍の(笑)俺が皆のところに帰ると、皆で仲良くハブラシ中だった。

「な……なんだ??なによ?なによ?皆で歯なんてなんで磨いてんだ??」

磨き終わった白い歯を俺に見せ付けながらコレットが笑った。

「今日はね、虫歯予防デーなんだよ。だから虫歯にならないように歯を頑張って磨くのv正しい歯の磨き方を先生が教えてく
れたんだよ」

リ……リフィル様……こんなんなる前に先に教えといてくれよー!!

「歯が戦闘中に痛くなったら格好悪いからねー」

く……クソガキ……。

「そっか。ロイド。あたしにも正しい磨き方、教えとくれよ」

「いいぜ!ハブラシ持って来いよ」

「…………」

そそくさと、ハブラシを取りに行くしいな―――――――「俺さまも!!」

「?? じゃあゼロスもハブラシ持って来いよ」






しゃこしゃこしゃこしゃこ……………。

「………あら?ゼロス、歯を磨いているの?」

見りゃ判るだろ!!俺は女教師を半眼で睨んだ。

「大暴れだったんですって?やっぱりしいなを付き添いに付けて正解ね〜」

からからと笑うリフィル………。

「なぁ、リフィルさま……」

「なぁに?」

「俺さま、先生という人間がもう信じられない……」

「あそ。私はハーフエルフだけどね」

「うぅぅぅぅぅ……」





end




2007.6.10up