<Please call me♪>
クラウドが家に帰宅すると………デンゼルとマリンとティファが、カタログを見ていた。
「……でもさぁ…」
「デンゼルはこっちがいいんじゃない??」
「…待って。二人ともこっちのはどう?」
<Please call me♪>
「……何してるんだ?」
クラウドの声にようやく帰宅に気付いたらしい3人は口々に声をかけた。
「……おかえり!」
「おかえりなさい!」
ティファが立ち上がってクラウドを迎える。
「……おかえりなさい」
「…ただいま」
ティファの口唇に軽くキスをして、装備品を外す。かなり重量はあるがそこはティファ。クラウドの
装備品を抱え、部屋に行ってしまった。
「……お前たち、なにやってるんだ…?」
あらためてテーブルの上を見ると、置いてあるのは携帯電話のカタログだった。
「ケータイ欲しいんだ!」
「………」
携帯電話……クラウドにとっては苦い思い出がなくはないそれ。
大分前から普及してはいるものの、クラウドが持ち始めたのはここ4年といったところだ。
もちろん、彼がデンゼルとマリンの年齢の時は携帯電話自体、普及していなかった。
「……まだ、早くないか??」
「そんなことないよっ!」
「皆、持ってるもん!」
「……なんかね、持ってる子多いみたいで……」
部屋に装備品を置いて来たティファが困ったように笑いながら言った。
「オレ、クラウドとおんなじのがいい!!」
「……これか?」
クラウドは自らの持つ、黒い携帯電話に目をやった。
「それめちゃめちゃカッコイイよな!」
………待ち受けはティファの画像だけど。
ちなみになぜか自分の画像とエアリスの画像も入っている。
それを言うとデンゼルの中のカッコイイクラウド像を壊してしまうので、言わない。
「あたしはこっちがいい!」
マリンが指すのは、クラウドの所持する携帯電話とは異なるメーカーの携帯電話を指した。
「…………」
ティファは困ったように笑った。
「……でも今はいろんな機能があるよ?これなんか使いやすそうだし……これはGPS機能が付
いてるのよ」
そう言ってティファが指すのはキッズケイタイと銘打ってあるものだ。
「GPS??」
「うん。持ってる子が何処にいるか判るようになってるの。今はまだ物騒だし…」
「……カワイクなーい!」
「オレはクラウドとおんなじじゃなきゃやだ〜!!」
「……で……出来れば電話会社を統一したいんだけど……」
「なんで??」
無頓着なクラウドに苦笑しながらティファは答えた。
「あのね、家族だと携帯の料金に家族割引…ってのがきくの。電話会社が違うときかないから…」
「……じゃあDoC●Moにすればいいじゃないか?」
「うーん…。ちょっと高いんだよね…」
そんなティファの憂鬱を気にすることなく、子供たちは好きなものを探している。
「あたしこれ!」
マリンが指したのは●uの携帯電話だ。
「デンゼルはa●だめ?」
ティファはデンゼルの顔を覗き込んだ。
「………ティファもD●CoMoじゃないか?」
クラウドはティファに尋ねた。
「……うん。でもあまり使わないし、この機会に変えてもいいかな…って」
「ティファはどれにしたいんだ?」
「……私はどれでもいいよ。デンゼルとマリンの電話会社にしようと思って」
「……本当に?」
言うティファの前に置かれているカタログはちまっと端が折られていた。
それを手にとりクラウドは口角を上げた。
それは特定の機種のページではなく、料金プランのページだ。ティファらしく各電話会社を比較し
たらしく、蛍光ペンでチェックをしている。
その中にでかでかと『LOVE定額 月額315ギルで通話もメールもし放題』と書かれたページの
端をティファは折っているのだった。
――――これだけ調べたなら言えばいいのに……。
そう思ったが言わないのがティファらしいと言えば、らしい。
ティファの頭に手を置いて、クラウドは言った。
「……俺は構わないぞ。仕事用とプライベート用で電話を変えてもいいかと思っていたんだ」
「……やだ!そーゆーことじゃなくて……!」
「??」
キョトンとする子供たちの前にクラウドはカタログを置いた。
「デンゼル、俺はここのにする。お前もそうしろ」
「え〜!なんで!?」
「なんでも。マリンもこの電話会社で考えろ」
―――結果、クラウドたちは新しい携帯電話を入手したのだった。家族割引はもちろん、LOVE
定額も申し込んだことは言うまでもない。
「……良かったのかな?」
「大丈夫だろ。大体あの調子じゃいつまで経っても決まらない」
ベットに横になりながらクラウドは言った。
「……それも、そうかも?」
ティファは洗いざらしの髪の毛を梳きながら笑った。
「クラウドはいいの?」
「仕事も増えてきたからな。違う携帯の方が都合がいい」
「この携帯じゃ、待ち受けにエアリスの写真、ないよ?」
そもそもなんで入っているかが謎なのだが……。茶化すように言うティファを強引に腕の中に引
き込むと、クラウドは言った。
「この携帯、デジカメもすごいらしいな」
「うん??」
「……ティファ」
「え?」
パシャリ…と独特の効果音が流れた。クラウドは画面を確認してにやりと笑った。
「綺麗に撮れた。……これ待ち受けにしようか?」
画面には、濡れた髪の毛に白いキャミソールの妙に色っぽいティファ。
「や…やだ!!すっぴんだし!!」
「…すっぴんでも可愛いからいいじゃないか?」
「ダメ!!消して!!」
クラウドから携帯を取り上げようと手を伸ばすティファを抱きしめて、耳元で囁いた。
「今度、家族で写真、撮ろう。それを待ち受けにするよ」
うん……とティファは頷いた。
「……いっぱい電話してね?」
「あぁ。電話する。ティファも電話してくれよ」
「うん……定額……だもんね」
315ギルで会話し放題――――それがこの度の携帯選択の決め手だったことは二人だけの秘
密―――。
end
[あとがき]
………ってより解説なんですが……話の中で出てくるクラウドの所有している携帯電話はACで
クラウドが所有していて実際に発売されたクラウドブラックです。
あの携帯電話は驚くことに最初から待ち受け画面にクラウド、ティファ、エアリスの画像が入って
いたらしいです。
あれが欲しくて携帯電話変えようかと思ってカタログを持って来たわたし…。結局
変えませんで
した。
この話を書くにあたり各会社のカタログを持って来たのですが、新しい携帯電話が欲しくなりまし
た…単純〜f^_^;
クラウドブラックに関しては知ってる人、持ってる人は意味が判るけど知らない人は意味のわから
ない話ですねι 以降、気をつけます。
追記:そして更に、年は経ち(………)携帯会社さえ変わり……、LOVE定額ってまだやってるんで
すか? あまり、携帯料金詳しくないもんで……。因みに実話に基づいています。そういう理由で携
帯変えた人が結構身近に多かった…!!
2006.9.19up
2007.2.27追加
2008.5.6
うわーもう、携帯料金変わりすぎてこの話成立しないよ!!携帯の変化、早いですね!!
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